アメコミに見るcynic / irony

今日ツボったもの。


※画像はこのイラストの引用元URLのキャプチャー画像です。

なんともいえない一枚です。口角の少し下がった、やや肉付きの良いブロンドの女性は、唇も爪も真っ赤で口角と同様に下がった眉からも、どこかしら「おしゃれには手を抜いていない小市民」的な印象が漂います(笑)
彼女はこう言っています。

Enjoy your worries, you may never have them again.-(そんなのもう二度とありっこないから、悩みなんてみんな楽しんじゃいなさいよ。)

ここでこのイラストの延長線上にあるものに思いを馳せます。彼女は一体、誰に向かってこのセリフを言っているのでしょう。あるいはどんな場所で。それはどのような状況下なのでしょうか。彼女が言っている先の相手に、一体何があったのでしょう。どんな深刻な悩みが。もう楽しむしかなす術がないような悩みなのかもしれません。
彼女の名はJane, 年は27歳、未婚。友達思いの姉御肌で、言っている相手は仲のいい女友達。場所は街の小さなダイナー、時間は20時半。「悩みを聞いて欲しい」と連絡をもらったのを受けて仕事帰りに待ち合わせしたところ。さめざめと泣きながら話す友人と彼女に挟まれたテーブルにはウォッカトニックとオレンジジュース。もちろん(?)Janeがウォッカトニック(笑)
・・・などなどと、私の妄想はこういうとき、なかなか止まってくれません。
そもそも、私が深くアメコミを愛するようになったきっかけはロイ・リキテンスタイン(Roy Lichtenstein:1923-1997、ニューヨーク生まれ・→Wikipedia)の作品を見てから。その潔い色使いと粗めのタッチ、アメリカらしいちょっと斜めからの物言いなどにとても惹かれました。
彼の作品「エディー・ディプティカ(Eddie diptych・1962)」では、ハイティーンと思われる娘の耳元でささやく母親らしき女性、という絵の構図でこんな風にセリフが描かれています。

I have something for you to eat in the kitchen, dear,,,(かわいこちゃん、キッチンにごはん用意してあるわよ・・・)
I m not hungry mother! PLEASE, I just want to go to my room!(おかあさん、私おなかすいていないわ!もう部屋に戻りたいんだけど!)

どこかしら子離れできない母親とダイエットに夢中になるお年頃の娘、といった構図もそこに見える感じがします。

私の持っているロイ・リキテンスタインの本はこちら。

リキテンスタイン NBS-J (タッシェン・ニューベーシック・アート・シリーズ)

リキテンスタイン NBS-J (タッシェン・ニューベーシック・アート・シリーズ)