夏の夜


忘れてきたひとひらの想い出を取りに
戻った僕の部屋の片隅で今まさに燃え
るような夏が羽化していた。僕はあっと
息を呑みただ見守ることしか許されて
いないようだった。孵ったばかりの夏を
連れて、さて今夜はどこにゆこう。



なんてことのない街灯を撮った写真にコトバを載せてみました。
こういうの、以前は飽きるほど好んでやっていたのに、いつのまにやらなくなってしまったのでしょう。最近、じわじわと以前の自分を思い出し、取り戻すような動きが進んでいます。とても好ましいリセット。
折りしも、季節は夏に向かうところ。この時期がとても好きです。蟲の声を聴き、大気の匂いを嗅ぐだけで、私の中の何かが非常に刺激され目覚めるような感覚があります。

夏は夜。月の頃は更なり。・・・今にも孵りそうな夏を胸に、今夜は月を待ちましょうか。