100回泣くこと(中村航)

最近読んだ一連の本のうちの一つ。文庫で買った小説、なのだけど、内容は重い一冊でした。
「健やかなる時も/病める時も」という、結婚式を挙げるときに使われる「誓いの言葉」がモチーフになっています。

旅に出ようか、と考えていた。でもそんなことが、彼女の死と、つり合うわけがなかった。会社を辞めようか、とも思った。だけどそんなことが、彼女の死と、つり合うわけがなかった。

命を交差させ、光を影というコントラストを言葉で紡ぎ、「ずっと」の持つ可能性とその行く末を考えさせられました。読後感はヘヴィーですが、内容が純粋なのですがすがしい。また、ドライな文体も思いを転がし続けるのに役立っていると思いました。

100回泣くこと (小学館文庫)

100回泣くこと (小学館文庫)